最近、日々のニュースや新聞などでよく耳にする「IoT」という言葉。
幅広い分野でIoTを活用したビジネスが展開され、市場規模の拡大も計り知れないと言われていますが、どうもいまひとつ理解できないという方のためにIoTの基礎知識をできる限りやさしく解説します。
IoTとは「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」と言われています。今までは通信機能を持たなかった「モノ」が、センサーを組み込む事でインターネットに接続されることを指します。
日々新聞やニュースで報道されているため「IoT」という言葉自体はご存じの方も多いとは思いますが、実際のところ活用事例などが少なく、まだまだ一般的にはなじみが薄いというのが実態ではないでしょうか。
ここでは多くの方が「分かりづらい」と感じてしまうIoTについてできるだけ基礎的な事が理解できるよう解説していきます。
IoTで言われる「モノ」とは一体何のことでしょうか。実はカンタンで「モノ」はそのままあらゆるものを指して、例えばノートや鉛筆のようなものまで含めて「モノ」と捕らえられています。実際にノートや鉛筆がIoT製品として世に出回っているわけではありませんが、そういった今までインターネットに接続することを想像すらしなかったものが繋がるようになったのが「モノのインターネット」”IoT”と理解すればよいでしょう。
実際のIoT化されている「モノ」には「エアコン」「冷蔵庫」などの家電から「自動車」、ビルや住宅などの「建物」まで広範囲に渡っています。これらの「モノ」がすべてインターネットに繋がり、省エネや安全面での改善からビジネス面での業務改善に役立つと言われています。
実は以前からモノ同士が繋がるIoTに似た技術がありました。M to M(Machine to Machine 機械から機械へ)と呼ばれるもので、機械同士がつながり、お互いの機械(モノ)同士が制御、命令をし合いモノを自動的に動かす技術です。
例えば「ビルの空調管理」。センサーが部屋の温度を感知して一定の温度に保たれるように調整されています。基本的に人の手で温度を上げ下げする必要がなく、機械同士の作業ですべて完結することが可能です。
あくまで機械同士が繋がっているだけですが、人の手を介さず温度や送風など管理できる画期的なシステムと言えるでしょう。
M to Mはお互いに通信しあう範囲が限られた狭い範囲での通信状態といえます。
一方IoTはもっと拡大した概念を指します。
上記のM to Mにあるようなエアコンのような「今まで通信機能を持たなかったモノ」そのものが通信機能を持つようになり、モノから送信されたデータはインターネットを通し、一度サーバーに収集されます。集められたデータはその後分析が行われ、次のアクションを起こすという流れが生まれます。
ビルの空調管理で言えば、ビル内で機械同士のデータのやり取りだったものが、エアコンそのものが通信機能を持つことで、ビル内の温度や空調機器の運転状況などがサーバーに送られ、詳細なデータを収集します。集められたデータは分析が行われ、その分析結果により「効率のよい空調管理」を実現することが可能になります。
パーソナルな分野ではスマートウオッチなどの身近デバイスもIoT製品と言えるでしょう。スマートウオッチに記録されたデータはアプリで収集され、インターネットを通してサーバーに送られます。サーバーに集められたデータは多くのユーザーの情報と共に分析され、ユーザー一人ひとりに合った健康を改善するための提案などがフィードバックされます。
ガスや電気のスマートメーターもIoT具体例といえるでしょう。家庭や企業などに設置されたメーターが自動で使用量を計測し、そのデータはガス会社や電力会社に送られるので、計測員の必要がありません。
例えば東京電力のスマートメーターは使用量を30分ごとに計測し、メーター自体に設置した通信機能がデータをサーバーに送信します。利用者は電気の使用量をインターネットで見ることができます。また、電気会社で集めた大量のデータを分析することでユーザーに、より効率のよい使い方をお知らせしたり、最適なプランを提案したりということも可能になります。
家のあらゆるものが通信機能を持ったスマートハウスでは家のセキュリティーから、空調管理、メンテナンスの状態を知ることが出来るでしょう。また街全体のものが通信機能を持つことでスマートシティーが作られ、安全な街づくりを実現に向けて世界各地で実験的な街づくりへの試みが行われています。
ビジネスの世界では、通信機能を持ったモノを販売することでそこからデータを収集、分析し、顧客へのフィードバックから新たなビジネスチャンスが生まれると言われていて、日々様々なIoTが開発されています。
総務省平成30年版情報通信白書によると、2020年には、世界のIoTデバイスの数が400億になると予測されており、よりIoTが身近なものになりつつあります。http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nb000000.html
デバイス数の増加に比例して、IoTを通じて収集された膨大なデータの蓄積量も増大しています。この蓄積されたビッグデータの活用も研究が進められており、AIを活用した分析により様々な問題を解決する手段として期待されています。
過去には、カーナビや各交通機関などから収集されたデータが東日本大震災時に公開され、被災地への救援物資を運ぶ手助けとなりました。IoTの技術はこのように公共の利益に役立つものとしても大いに活用されています。IoTは人々が気づかないうちに世の中でなくてはならないものになっています。現在はIoTなしでは皆が生きることができない、そんな時代に既に突入しているのです。